[Warframe]ストーリー解説:全体まとめと考察

[Warframe]ストーリー解説:全体まとめと考察

Warframeのストーリーについて、これまで物語が大きく動く「Natah」から「サクリファイス」までのメインストーリークエストを中心に、解説記事をお届けしてきました。

<ストーリー解説記事まとめ>

◆クエスト「Natah」

◆クエスト「二番目の夢」

◆クエスト「内なる紛争」

◆クエスト「背信のプロローグ」「サクリファイス」

◆全体まとめと考察

今回は全体まとめと考察です。これまで明かされた内容やストーリー展開を振り返りつつ、いろいろ考察を巡らせていこうと思います。

ネタバレ注意
この記事には重大なネタバレが含まれます。未クリアの方はご注意下さい。

オロキン帝国時代に何が起きたのか

全体のストーリーを把握する上で、「オロキン帝国時代に何が起きたのか」という観点が非常に重要になってくると思います。各クエストで断片的に語られるこれらの要素を整理してみましょう。

なお、時系列を意識して以下にまとめていきますが、実際には時系列がはっきりしない部分もあるため、あくまで目安程度に考えて下さい。

1:オロキン-センティエントの戦争(古の大戦)

まず注目すべき軸の一つは、オロキンとセンティエントの戦争です。一通り時系列にまとめてみましょう。

1-1:センティエントの誕生

オロキン帝国は、おそらくは未開拓領域の探査を目的とし、ドローン(機械)を深宇宙に派遣します。このドローン達が意志と繁殖能力を持ち、オロキンを「破滅をもたらすもの」と認識して侵攻に転じました。これがセンティエントです。

1-2:オロキン執政官Ballasとセンティエント「Honhow」の内通

オロキン帝国は、センティエントの高い学習能力に苦戦を強いられていましたが、新兵器「Warframe」の投入により戦線を維持していたようです。そんな折、オロキンの執政官Ballasは、ひそかにセンティエント「Honhow」と内通し、オロキン側の情報を流していました。こうしたBallasの陰謀を暴こうとした一人のDAX兵がいましたが、彼はBallasの手によってテクノサイトウイルスに感染させられ、Warfarme「EXCALIBUR UMBRA」へと変貌させられてしまいました。

1-3:センティエント「Natah」の裏切り

センティエント達は、「Natah」と呼ばれる個体を生み出し、オロキン側にスパイとして派遣します。「Natah」は、Warframeを操るテンノ達の抹殺を使命としていました。しかし、Natahはその使命を全うせず、テンノ達をルアのリザーバに隠して保護しました。Natahは「Lotus」と名乗るようになり、現在に至ります。

2: BallasとMargulis、そしてテンノ

もう一つ、「Ballas」と「Margulis」という二人の人物、そして後にテンノとなる「子供たち」の存在があります。これは別軸で整理したほうが良いでしょう。

2-1:宇宙船Zariman Ten ZeroのVOID航行事故

事故により乗員乗客はほとんど死亡しましたが、一部の子供たちだけが生き残りました。この子供たちは不思議な能力を備えてしまっていました。子供たちは能力をうまく制御できず、周囲の人々を傷つけ、恐れられるようになりました。

2-2:Margulisによる子供たちの「治療」

救出された子供たちは、Margulisという女性によって「治療」されます。これがどのような治療だったのかは、作中の登場人物によって証言が異なります。

Lotusによれば、「能力に耐えうる身体に精神を載せ替える」-すなわち転移技術により、能力の制御が可能になったとのこと。

一方Teshinによれば、「能力を治療したのではなく、消した」とのこと。

どちらが正しいのかは、作中では明言されていません。

2-3:子供たちの処遇に関するBallasとMargulisの論争

さて、救出され治療された子供たちの処遇をめぐり、BallasとMargulisの意見が対立していた様子もわかります。Ballasはオロキン上層部の意向に従い、子供たちを「根絶やしにする」ことを主張。一方、Margulisは子供たちの治療と保護を主張していました。

2-4:Margulisの死刑判決と子供たちの処遇

Margulisはオロキン上層部の意向に逆らったたため、死刑判決を下されます。実際に執行された刑罰は、「慈悲ある死」よりも過酷な、ある種の監禁を伴う刑罰だったようです。

一方、彼女が「治療」した子供たちは、その転移能力をもってして、Warframeを制御する役割を与えられることになりました。当時のオロキンは、人間を意図的にテクノサイトウイルスに感染させることでWarfarmeを製造していましたが、制御に問題を抱えていました。この問題を解決するために、子供たちをWarfarmeに転移させて操らせることとしたようです。この子供たちが、「テンノ」と呼ばれる存在になります。

考察1:オロキンは何故滅びたのか?

それでは考察、いろいろやっていきましょう。

まず「オロキンは何故滅びたのか?」という点がちょっと気になります。ここまで物語が進んでも、まだ明かされていないんですよね。

クエスト「Natah」でグリニア将校Tly Roger氏が語るところによれば、どうやらセンティエントによってオロキン帝国は滅ぼされたとのこと。しかし、実際にどうだったのかは不明です。また、通常版EXCALIBURのコーデックスの記述にも、「センティエントは勝利した」と書かれています。ただしこれは、「センティエントが勝利」した後に、Warframeが戦線に投入されたと解釈できる記述になっていますから、この時点ではオロキンは滅亡はしていなかったと考えられます。

クエスト「ERRA」で古の大戦当時の戦場が描かれていますが、この時すでにNatahはLotusになっていること、テンノ達を従えてセンティエントに敵対していることがわかります。この戦場にはオロキンのDAX兵たちも参加していたようですが、軒並みやられています。

こうした様子を見ると、どうも「古の大戦」末期は、オロキン、センティエント、そしてLotusとテンノという三つ巴の戦いになっていたのかもしれません。

Warframeの反乱は、オロキンが滅びた原因ではない?

これはクエスト内ではほとんど言及されませんが、一部コーデックスやレベリアンなどのフレーバーテキストを見ると、オロキン時代に「Warframeの反乱」事件がいくつか生じていたようです。

Stalkerのコーデックスでは、オロキンの戦勝祝祭にてテンノ達が反旗を翻し、その場にいたオロキン達を虐殺した様子に言及されています。また、この祝祭での虐殺事件のほかに、LAVOSのレベリアンでもWarframeの反乱とオロキン虐殺が描かれています。

しかし、これらの反乱によってオロキンが滅びたと考えると、Tly Rogerの証言と整合性が取れなくなります。また加えて、Ballasが当時Honhowに送った情報記録には、「Warframeの反乱」が既に生じていた前提のセリフがあります。

「驚いたかね?彼らは我らに歯向かった、貴様らのようにな。」

ということは、Warframeの反乱は生じていたものの、その後もオロキン帝国は存続し、センティエントとの交戦を継続していた(BallasはHonhowと内通を続けていた)ことが伺えます。

となると、一体、オロキン帝国はなぜ滅びたのか?この点はまだまだ十分な情報が明かされていないと考えて良いかと思います。

考察2:Natah=Margulis=Lotus説

Lotusの正体についても、考察の余地が残されている部分かなと。作中で「Natah=Lotus」は明かされていますが、Margulisとの関係性はまだハッキリと描かれていません。ですが、「背信のプロローグ」のやり取りを見る限り、Natah=Margulis=Lotus同一人物説は、かなり説得力があるように思えます。

そもそも「Natah」という名前はセンティエント側のもの。オロキン帝国にスパイとして派遣されたと考えると、オロキン帝国内での呼び名があって然るべきです。その名前が「Margulis」だったのではないか…というのは、あり得る考察かなと思います。

しかし、Margulisはテンノ=Ten Zeroの子供たちの抹殺をせず、治療していますから、この時点ですでに人格としてはLotusに近くなっていたのかもしれません。

一方で、クエスト「ERRA」や「創造主」を見ると、どうもセンティエント側としては、NatahがLotusになったのは、創造主=オロキンによる何らかの作用が原因だと考えている様子もあります。これも Natah=Margulis=Lotus同一人物説 を採用すると、Margulisはオロキンから刑罰を受けていますから、それが原因でNatahが何らかの変質を起こし、センティエントを裏切ってLotusになったのだ、という風に考えたとしても、まあ納得感はありそうです。

考察3:転移「技術」と転移「能力」

さて、物語のカギを握るファクターとして、「転移」という技術もあります。結果論的に見れば、精神を他の物体・生物に移し替える技術ですね。テンノがWarframeを操る技術としての描写が中心ですが、他のエピソードで描かれるいくつかの要素でも関係していきます。

この「転移」、どうも「技術」と「能力」の2種類があるのではないかと思います。

技術としての転移は、おそらく作中で「ソマティック・リンク」とか「転移ボルト」とか呼ばれるテクノロジーによって実現されている様です。こうしたテクノロジーによる転移は、テンノ(Ten Zeroの子供たち)以外にも利用できるようです。たとえばTITANIA獲得クエストや「Naberusの夜」イベントでは、テンノではない人物が、精神を他の物体や個体に移し替えている様子が描かれています。TITANIA獲得クエストでは「ソマティック・リンク」に言及があり、 「Naberusの夜」 イベントでは、クバが用いられていることが示唆されています。

一方で、テンノによるWarframeへの転移は、クエスト「二番目の夢」まではソマティック・リンク装置を用いたテクノロジーとして描かれていますが、クエスト「内なる紛争」以降は、機械装置に頼らない自身の「能力」として行使される描写に変わります。

こうして考えると、同じ「転移」であっても、テクノロジーによるものと、能力によるもの、少なくとも2種類があると考察して良さそうです。

考察4:精神と身体-Warframeと世阿弥の哲学の共通性

さて、Warframeのストーリーを追っていく中で、「精神と身体」という一つの命題が根底にあるのではないかと、ぼんやりと感じ取っています。

手を見るテンノとStalker

クエスト「二番目の夢」のクライマックスで、目覚めたばかりのテンノとStalkerが、それぞれ自分の手を眺める描写があります。

これはかなり象徴的な演技だなと思うのですが、赤ちゃんの「ハンドリガード」という動作を彷彿とさせるんですね。生後数ヶ月ぐらいの赤ちゃんは、自分の手を眺めたり、なめたりする動作を行います。これがハンドリガードと呼ばれる動作で、これによって自身の知覚と身体の統合を進めているのだとか。

テンノとStalkerがそれぞれ自分の手を眺める場面も、「知覚と身体の統合」という文脈で読み解いてみると、なかなか味わい深いものがあると思います。

Warframeと世阿弥

能楽の開祖であり、室町時代後期に活躍した猿楽師「世阿弥」。彼の芸術論は禅宗の影響を大きく受けており、そこから展開された「幽玄」という理念を根底に敷いて、「風姿花伝」などの能楽書を著したことが現代にまで伝わっています。

何故いきなり世阿弥の話なんか出てくるんだ、と思われそうですが、彼が残したこの一節を御覧ください。

「舞とは、空魂に神が乗り移ることである」

これについて筆者は以前、能楽師の先生から解説してもらったことがあります。空魂とは「からっぽになった身体」のこと。自身の身体をからっぽにして、糸で結ばれた操り人形のように扱う感覚なんだそうです。

この考え方は、そのままWarframeのオペレーターとフレームの関係に近いんじゃないかと。空魂=身体がフレーム、神=精神がオペレーターというわけですね。

こうして能楽、ひいては禅宗の考え方に照らして、Warframeのストーリーを見直してみると、

・精神と身体の関係性、心の在り処を問う「二番目の夢」
・内面の苦悩と向き合う「内なる紛争」
・心身の統合により苦悩を取り除く「サクリファイス」

という風に、世阿弥の風姿花伝、あるいは禅の「心身一如」であるとか、そういった日本の古典的な思想哲学と近いものを感じます。

なんちゃってJAPANなフレーバーも魅力の本作ですが、もしかすると、日本文化を案外深いところまで解釈した上で、いろいろなものが作られているのかもしれません。何も考えずにやってたとしたら、それはそれでDEすげぇってなるけどね。

考察5:ぜんぶTly Rogerのせいなのか

さて、一連のメインストーリーを追ってみると、コトのキッカケは天王星の海底研究所で、Tly Rogerが「センティエントの墳墓」を暴いてしまったことではないか、と思えます。センティエントが復活し、太陽系への再侵攻を開始したのも、Lotusがどっか行っちゃったのも、元はと言えばTly Rogerさんが原因では?

…という風に思っていたのですが、考えてみれば、彼が「センティエントの墳墓」を暴く前段階で、すでにセンティエントの偵察ドローン(オキュリスト)が太陽系で活動しているわけですよね。

そう考えると、Tly Rogerがセンティエントの墳墓を暴いたのはトラブルのようなものであり、それがあっても無くても、センティエントの再侵攻は既定路線だったのかもしれません。

ちなみに、ちょい役っぽいTly Rogerですが、クエスト「Natah」でのやり取りをみると、どうもTeshinのことを前々から知っていた様子なんですよね。もしかすると、Tly Rogerもオロキン時代に何らかの因縁がある、重要人物なのかもしれません。

まとめ:

さて、他にもまだまだ考察の余地がたくさんありますが、長くなりすぎたので、今回はこの辺にとどめておきましょう。

2021年12月、ちょうどこの記事を書いている翌月になりますが、「古の大戦」に関する新しいクエストの実装も予告されています。これまでの流れを振り返り、ストーリーを把握しておくと、より楽しめるのではないか…ということで解説記事シリーズをお届けしてきました。

あくまで筆者の解釈なので、いろいろ異なる部分もあるかと思いますが、Warframeの難解なストーリーの読解に役立てば幸いです。

では改めて、これまでの解説記事のリンクを張って、おしまいにしましょう。

<ストーリー解説記事まとめ>

◆クエスト「Natah」

◆クエスト「二番目の夢」

◆クエスト「内なる紛争」

◆クエスト「背信のプロローグ」「サクリファイス」

◆全体まとめと考察

以上です。読了ありがとうございました。

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